知っておきたいアスリートの貧血①

知っておきたいアスリートの貧血①

スポーツ貧血と貧血対策

『スポーツ貧血』を知る前に、まずは貧血とはなにか?についてお話します。
貧血とは、血液中の赤血球や、赤血球に含まれる「ヘモグロビン」という成分が、なんらかの原因で減少して血液中のヘモグロビン等の濃度が基準値以下に低下した状態をいいます。いわゆる「酸欠」状態となっているのです。(表1参照)

貧血の診断基準
 *ヘマトクリット(Ht):「血中の赤血球が占める割合」を表す数値

全身の細胞にとって、血液によって運ばれる酸素は必要不可欠であり、この酸素を運搬するのが、「ヘモグロビン」です。このヘモグロビンは鉄を材料として血液をつくるため、鉄が不足すると貧血を起こしてしまう、というメカニズムとなっています。

ラグビー

では、『スポーツ貧血』は普通の貧血と何が違うの?と思う方もいるかもしれません。
この違いは、貧血を引き起こす原因にあるのです。
『スポーツ貧血』とは、激しい運動をすることで起きる貧血のことを言います。身体への衝撃により赤血球が壊されることでヘモグロビンが血球外に溶出することで起こる「溶血性貧血」、そして体内の鉄が不足することで起こる「鉄欠乏性貧血」の2種類があり、多くは鉄欠乏性貧血に該当します。

続いて、「溶血性貧血」、「鉄欠乏性貧血」が起こる詳しい原因についてみていきましょう。

溶血性貧血

バレーボール

激しい運動により、足の踵を打ちつける衝撃や筋肉の強い収縮により赤血球が壊され、ヘモグロビンが血球外に溶出することで起こります。特に注意が必要なスポーツとしては、激しいコンタクトのあるラグビーアメリカンフットボール、足を何度も打ちつける陸上競技、裸足で強く踏み込む剣道、跳躍を繰り返すバレーボールなどが挙げられます。

※コンタクト…力を抑制せずに相手に直接接触すること。

鉄欠乏性貧血

マラソン

主に3つの要因が考えられます。

1つ目は鉄の需要の増加です。成長やトレーニングにより筋肉量が増加すると、それに伴い鉄の必要量も増加します。また、運動量の増加も鉄の需要量増加に繋がります。それによって、今までは足りていた鉄の量が不足してしまうことがあります。

2つ目は鉄の摂取不足、吸収力の低下です。食事で十分に鉄を摂取できていないと貧血を起こしてしまいます。また、腸内細菌の影響で鉄の吸収が低下している場合もあります。

3つ目は鉄の流出です。女性の場合、月経により一時的に鉄不足になります。また、汗をかくと汗とともに鉄も体外へ排出されてしまいます。

その他

エネルギー不足や慢性疲労・ストレスによる骨髄機能低下、慢性的な炎症も貧血の原因となります。

いずれの貧血においても、疲れやすくなる、動悸がする、すぐに息が切れてしまう、めまいや頭痛といった症状が現れやすくなり、パフォーマンス低下の原因となってしまいかねません。また、スポーツ貧血は練習熱心な選手であるほど多く起こり、特に体操など競技のために体重を落としている女子に多くみられます。無理な減量は、無月経や疲労骨折、骨粗鬆症を起こしやすくなるため注意が必要です。


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